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Channel: アモーレ・カンターレ・マンジャーレ
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この道はいつか来た道・・・

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落語仲間と話しているといろんな話になるが、共通しているのは、話をするときに常に「いかにウケるかしか考えない」ということ。

 

 確かに現役の会社員の時にも、真面目な研修であっても必ずくすぐりをいれて、ウケを取るかを考えていたし、小生の結婚式に出た先輩など、主賓の祝辞で・・・「新郎新婦はさておき・・・」とネタを始めた次第。

 ただ、そもそも落語やお笑いは常にそういうものだと・・・思ってほしいところではある。

 

 噺家の葬式などは、知らない人が見たら不謹慎な・・・というものだろう。いや正しくは噺家にとって笑いを取るのは真剣勝負な仕事そのものなのだ。

 さてそんな中、先日の東京新聞にイヤな気分になる記事が載っていた。5月27日の笑点の大喜利の内容にネトウヨたちがかみついているというのだ。

 

 「公害で一番苦情が多いのは騒音。うるさいと耳をふさぎますよね。そこで皆さん、耳をふさいで、 一言」というお題に対して、次のような回答が出たという。

 「安倍晋三です」。「どうしたの」という合いの手に「トランプ氏から国民の声は聞かなくていいと言われました」といったたぐいのもの。

 

 これに対し、「笑点使っての政権批判、印象操作酷いな」「風刺を通り越して政権批判」など、政治的な偏りだと見る非難が相次いだ。「首相批判や米軍駐留反対の話題は、お笑い番組としてふさわしくない」と番組制作側の姿勢を問う声もあったという。

 あえて小生声を上げて言いたい。「政権批判のどこが悪い」「首相批判や米軍駐留反対の話題は、お笑い番組だからこそふさわしい」と。

 

 こうした批判をする方に問いたい、「お笑い番組としてふさわしくない」のなら、どういう番組ならふさわしいのかと。

 おそらく彼らは「いやそもそもそういう話題自体がけしからん」と言うのだろう。ついでにいえば、野党が政権取れば、たちまち矛先を変えるはずだ。

 

 そもそも論を言うなら、仮名手本忠臣蔵なんかは十分に時の政権批判的なものだが、「あくまで実話ではなく、鎌倉時代の話」という建前で上演が許されていた。

 反権力こそが大衆芸能のエネルギーだし、落語だって歌舞伎だってもとは政権におもねるなんてことは一番嫌うべきことだった。

 

 第二次世界大戦中、演目の制限がかかったり、国威発揚のための国策落語までやらされた黒歴史を持つ落語界からすれば、こうした批判は意地でもはねのけたいところだろう。

 幸い、記事によればこの手の風刺に対する好意的な意見も多かったようだが・・・ただ、あくまで個人的な意見だが、こうした批判意見が普通になることにイヤなものを感じる。

 

 この道はいつか来た道・・・なんてことにならないといいのだが。


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